わかしとおゆと
わかしとおゆと

冒頭文

動詞形容詞一元論のたちばは、おもに、形式のうへにあるのだが、中には、意味のうへにまでも立入つて、其説を主張する人がある。今いはうとするわかしとおゆとの如きは、其屈強な材料なのである。 意味において、形容詞わか・しに対して居るお・ゆが、動詞であるのを見ても、一元なることは考へがたくないといふ。しかし、わかしとおゆとは意味において、しつくり、むかひあうては居らぬ、と、いふと、或はかういふかも知れぬ。

文字遣い

新字旧仮名

初出

「同窓 第九号」1908(明治41)年6月

底本

  • 折口信夫全集 12
  • 中央公論社
  • 1996(平成8)年3月25日