にちりゅうごぞくろん
日琉語族論

冒頭文

完全な比較研究が、姑(しばら)く望まれない。単に類似点を、日琉語族の間につきとめて行くと言ふ程度のものにとゞまるであらう。唯さう言ふ簡単な為事も、人文地理上の変革から、問題にせられなくなる時が来ないとも限らぬと思ふ。その不安から、この小論文は纏めておく気になつたのである。日琉同祖観による長いよしみの記念ともなれ、と思ふ記録に過ぎない。 日本語・沖縄語は、今日では、疑ひもない同系の語だと定つてゐる

文字遣い

新字旧仮名

初出

「民族学研究 第十五巻第二号」1950(昭和25)年11月

底本

  • 折口信夫全集 12
  • 中央公論社
  • 1996(平成8)年3月25日