こだいちゅうせいげんごろん
古代中世言語論

冒頭文

一 我国の歴史は、やがて三千年に亘らうとして居る。其間に起つた数多くの文学が、今日の我々にも、大体は訣るといふこと、殊に奈良朝以前の文学などが訣るといふことは、どういふことであらうかと、さういふ懐疑の念を、恐らく、多くの人々は持たれた事があるに違ひない。奈良朝以前のものが、之だけ時代を経た今日の我々に、とにかくに大体に於いてでも訣るといふ事は不思議だけれども、事実訣るのである。此事実に対して、若

文字遣い

新字旧仮名

初出

「昭和十四年度国学院大学夏季国語教育講座講演筆記」、「国学院雑誌 第四十六巻第三号」1940(昭和15)年3月

底本

  • 折口信夫全集 12
  • 中央公論社
  • 1996(平成8)年3月25日