こごふっかつろん
古語復活論

冒頭文

記紀の死語・万葉の古語を復活させて、其に新なる生命を託しようとする、我々の努力を目して、骨董趣味・憬古癖とよりほかに考へることの出来ない人が、まだ〳〵随分とあるやうである。最近には、御歌所派の頭目井上通泰氏が、われ〳〵一派に向うて、暗に攻撃的の態度を示してゐる。これは偶(たまたま)、安易な表現・不透明な観照・散文的な生活に満足してゐる、桂園派の欠陥を曝(サラ)け出してゐるので、歴史的に存在の価値を

文字遣い

新字旧仮名

初出

「アララギ 第十巻第二号」1917(大正6)年2月

底本

  • 折口信夫全集 12
  • 中央公論社
  • 1996(平成8)年3月25日