「そうや さかいに」
「さうや さかいに」

冒頭文

柳田国男先生が「さうやさかいに」を論ぜられて後、相当の年月が立つた。その論が、画期的なものであつたゞけに、此に対して、何の議論も現れなかつたことは、世間が先生のこの方言論を深く、認容したと言ふことになる訣である。 今頃更めて、ある時期における京阪語の代表的なものとせられてゐた「さうやさかいに」論を書きついで行く必要はない気がする。併し此で定論を得てをさまつた、この語の論策を綴(トヂ)める為に、か

文字遣い

新字旧仮名

初出

「言語民俗論叢」1953(昭和28)年5月

底本

  • 折口信夫全集 12
  • 中央公論社
  • 1996(平成8)年3月25日