こくぶんがくのはっせい(だいよんこう) しょうどうてきほうめんをちゅうしんとして
国文学の発生(第四稿) 唱導的方面を中心として

冒頭文

呪言から寿詞へ 一 呪言の神 たゞ今、文学の信仰起原説を最(もつとも)頑なに把(と)つて居るのは、恐らくは私であらう。性の牽引や、咄嗟の感激から出発したとする学説などゝは、当分折りあへない其等の仮説の欠点を見てゐる。さうした常識の範囲を脱しない合理論は、一等大切な唯の一点をすら考へ洩して居るのである。音声一途に憑(ヨ)る外ない不文の発想が、どう言ふ訣(わけ)で、当座に消滅しないで、

文字遣い

新字旧仮名

初出

「日本文学講座 第三・四・一二巻」1927(昭和2)年1、2、11月

底本

  • 折口信夫全集 1
  • 中央公論社
  • 1995(平成7)年2月10日