こくぶんがくのはっせい(だいにこう)
国文学の発生(第二稿)

冒頭文

呪言の展開     一 神の嫁 国家意識の現れた頃は既に、日本の巫女道では大体に於て、神主は高級巫女の近親であつた。併(しか)し、其は我々の想像の領分の事で、而(しか)も、歴史に見えるより新しい時代にも、尚(なほ)村々・国々の主権者と認められた巫女が多かつた。 神功皇后は、其である。上古に女帝の多いのも、此理由が力を持つて居るのであらう。男性の主権者と考へられて来た人々の中に、実は巫

文字遣い

新字旧仮名

初出

「日光 第一巻第三、五、七号」1924(大正13)年6、8、10月

底本

  • 折口信夫全集 1
  • 中央公論社
  • 1995(平成7)年2月10日