まんようしゅうのなりたち
万葉集のなり立ち

冒頭文

一 奈良の宮の御代 万葉集一部の、大体出来上つたのは何時か。其は、訣らない、と答へる方が寧(むしろ)、ほんとうであらう。併(しか)し、私としての想像説を述べて、此迄人の持つてゐた考への、大いに訂正せねばならぬものだ、と言ふことを承知して貰はうと思ふ。 万葉編纂の時代と、其為事に与つた人とに就ては、いろ〳〵の説がある。併し、其拠り処となつてゐる第一の有力な証拠は、唯万葉集自身と、古今集の仮名・漢

文字遣い

新字旧仮名

初出

「皇国 第二七九号」1922(大正11)年2月

底本

  • 折口信夫全集 1
  • 中央公論社
  • 1995(平成7)年2月10日