まんようしゅうのかいだい
万葉集の解題

冒頭文

一 まづ万葉集の歌が如何にしてあらはれて来たか、更に日本の歌がどういふ処から生れて来たか、といふこと即、万葉集に到る日本の歌の文学史を述べ、万葉集の書物の歴史を述べたいと思ふ。 すべて文学は、文明の世になると、芸術的衝動から作られるものであるが、昔はさうした欲望がなかつた。だから、其時代に、如何にして歌が出来たかをまづ考へねばならぬ。 日本に歌の出来た始めは、文学の目的の為に生れたものではな

文字遣い

新字旧仮名

初出

「万葉集十回講座講演」1926(大正15)年5月

底本

  • 折口信夫全集 1
  • 中央公論社
  • 1995(平成7)年2月10日