のうがくにおける「わき」のいぎ 「おきなのはっせい」のしゅうへん
能楽に於ける「わき」の意義 「翁の発生」の終篇

冒頭文

一 二つの問題 日本の民俗芸術を観察するにあたつて、我々は二つの大きな問題に、注意を向けなければならぬ。平安朝の末から、鎌倉・室町時代にかけて、とび〳〵に、其中心がある事を考へて見ることが、其一つ。江戸に接近しては、歴史家の所謂桃山時代が、やはりさうなのであるが、ともかくも、さうした衒耀(ハデ)な時代が、とび〳〵に山をなして、民俗芸術興隆の中心となり、其が連結して、漸層的に発達して来てゐるのであ

文字遣い

新字旧仮名

初出

「民俗芸術 第二巻第三号」1929(昭和4)年3月

底本

  • 折口信夫全集 3
  • 中央公論社
  • 1995(平成7)年4月10日