にほんしょとにほんぎと
日本書と日本紀と

冒頭文

一 紀といふことばの意義 今後、機会のある毎に、釈(と)いて行つて見たいと思ふ、日本書紀と言ふ書物に絡んだ、いろんな疑念の中、第一にほぐしてかゝらねばならぬのは、名義とその用法とである。 一体、此書物の二通りの呼び名「日本紀」・「日本書紀」のどちらが、元からの題号であるか、と言ふ事からして、既に問題であつた。日本紀は、日本書紀の略称ときめられさうな処を、さうもならずにゐたのは訣がある。日本書紀

文字遣い

新字旧仮名

初出

「史学 第五巻第二号」1926(大正15)年6月

底本

  • 折口信夫全集 1
  • 中央公論社
  • 1995(平成7)年2月10日