じゅしおよびのりと
呪詞及び祝詞

冒頭文

延喜式の祝詞を、世間では、非常に古いものだと考へて居る。或は、高天原から持ち来されたものゝやうにも云うてゐるが、さうでは無く、自分は悉、平安朝の息がかゝつてゐると思ふ。かう言ふのは、祝詞の性質として為方の無い事で、第一、祝詞が我々に訣るといふのは、それが新しいからである。併し全部が、平安朝時代の新作だといふのでは無く、大体平安朝の初め、百年ばかりの間に、今我々が見るやうな風のものに固定したのである

文字遣い

新字旧仮名

初出

「民俗学 第一巻第一号」1929(昭和4)年7月

底本

  • 折口信夫全集 3
  • 中央公論社
  • 1995(平成7)年4月10日