こだいみんようのけんきゅう そのがいりんにそうて
古代民謡の研究 その外輪に沿うて

冒頭文

一 おもしろき野をば 勿(ナ)焼(ヤ)きそ。旧草(フルクサ)に 新草(ニヒクサ)まじり 生(オ)ひば生ふるかに(万葉集巻十四) 此歌は、訣つた事にして来てゐるが、よく考へれば、訣らない。第一、どの点に、民謡としての興味を繋ぐことが出来たのか。其が見当もつかない。「ふる草に新草まじり」といふ句は、喜ばれさうだが、昔の人にもさうであつたらうか。上田秋成などは「高円の野べ見に来れば、ふる

文字遣い

新字旧仮名

初出

「日光 第五巻第一・二号」1927(昭和2)年9月、12月

底本

  • 折口信夫全集 1
  • 中央公論社
  • 1995(平成7)年2月10日