「しおくみ」のえについて
「汐くみ」の画に就いて

冒頭文

「汐くみ」は私としては相当に苦心を費やし、努力を払うた作品でございます。殊にこの画について心を用いた点は色調でございました。しかしいったいの釣合をとるためには、幾遍も素描をやり直しまして、自分自身でやや満足出来るものに致しましてから、本当に筆を執ったのでございます。 この画は、大作ではありませんけれども、全体に於て私自身の有(も)って居ります考えなり筆なりを、自分でやや満足し得ますところまで

文字遣い

新字新仮名

初出

「大毎美術 第二巻第十一号」1923(大正12)年11月

底本

  • 青眉抄・青眉抄拾遺
  • 講談社
  • 1976(昭和51)年11月10日