一 「大分世の中が静かになったな」 こう秀吉が徳善院へ云った。 「殿下のご威光でございます」 徳善院、ゴマを磨り出した。 「ところが俺は退屈でな」 「こまったものでございます」 「趣向は無いか、変った趣向は?」 「美人でもお集めになられては?」 「少々飽きたよ、実の所」 「それに淀殿がおわすので」顔色を見い見いニタリとした。 「うん淀か、可愛い奴さ」釣り込まれ