くみおどりいぜん
組踊り以前

冒頭文

一 親友としての感情が、どうかすれば、先輩といふ敬意を凌ぎがちになつてゐる程睦しい、私の友伊波さんの「組み踊り」の研究に、口状役を勤めろ、勤めようと約束してから、やがて、足かけ三年になる。其間に、大分書き貯めた原稿すら、行き方知れずなる位、長い時の空費と、事の繁さが続いた。今日になつて、書きはじめる為のぷらんを立てゝ見ると、何もかも、他人の説でも受けつぐ様な気分がするばかり、興味の鈍つて了うてゐ

文字遣い

新字旧仮名

初出

「民俗芸術 第二巻第八号」1929(昭和4)年8月

底本

  • 折口信夫全集 3
  • 中央公論社
  • 1995(平成7)年4月10日