おうむこまち
鸚鵡小町

冒頭文

謡曲小町物の一で、卒都婆小町などゝ共に、小町の末路を伝へたものである。小野(ノ)小町御所を出て、年たけて、関寺辺の柴の庵に、住んでゐた。陽成院小町の容子を聞こしめされて、新大納言行家に、 雲の上は、ありし昔にかはらねど、見し玉簾(タマダレ)の うちやゆかしき といふ御製を預けて、其有様を見がてら、返歌を聞いて来るやうに命ぜられた。関寺に行くと、物狂ひの老女が来るのを小町かと聞くと、

文字遣い

新字旧仮名

初出

「土俗と伝説 第一巻第三号」1918(大正7)年10月

底本

  • 折口信夫全集 2
  • 中央公論社
  • 1995(平成7)年3月10日