あんごじんせいあんない 04 そのよん にんぎょうのいえ
安吾人生案内 04 その四 人形の家

冒頭文

人形をだく婦人の話  高木貴与子(卅四歳) 女礼(メレイ)チャン(六ツ)の事でございますか、動機と申しましても、さあ他人(ひと)はよく最愛の子供を亡くしたとか、失恋して愛情の倚(よ)りどころを人形に托したと御想像になりますが、これといって特別な訳があるのではございません。丁度終戦直後、人形界の権威といわれる有坂東太郎先生について人形つくりを始めてから半年程してお嬢さんを亡くした知り合

文字遣い

新字新仮名

初出

「オール読物 第六巻第八号」1951(昭和26)年8月1日

底本

  • 坂口安吾全集 11
  • 筑摩書房
  • 1998(平成10)年12月20日