あんごのしんにほんちり 08 たからづかじょしせんりょうぐん――はんしんのまき――
安吾の新日本地理 08 宝塚女子占領軍――阪神の巻――

冒頭文

宝塚少女歌劇というものは、現代の神話的存在の一ツである。とにかく私のようなヤジウマ根性の旺盛な人間が今まで実物を見たことがなかった。同様に他の殿方の大部分も実物は御存知あるまい。 東京公演で男の見物姿を見かけることは少いそうだが、本場の宝塚大劇場では男姿も珍しくないという。なるほど、私のような図体の大きいのが最前列で見物していても、ジロジロ視線をあびることもなかったが、しかし見廻したとこ

文字遣い

新字新仮名

初出

「文藝春秋 第二九巻第一三号」1951(昭和26)年10月1日

底本

  • 坂口安吾全集 11
  • 筑摩書房
  • 1998(平成10)年12月20日