あんごのしんにほんちり 07 ひだ・たかやまのまっさつ――ちゅうぶのまき――
安吾の新日本地理 07 飛騨・高山の抹殺――中部の巻――

冒頭文

飛騨(実にメンドウな字だから以後カナで書かせてもらいますよ)は日本の古代史では重大きわまる土地であります。 隣りの信濃はタケミナカタの神がスワ湖へ逃げてきて天孫に降参したという国ゆずり事変の最後の抵抗地点で日本神話では重要なところだ。ところが、現天皇家が本当に確立の緒についたとみられる天武持統の両御夫妻帝(天武は天智の弟で、天智の御子大友親王≪弘文天皇≫を仆(たお)して皇位に即き、実質的

文字遣い

新字新仮名

初出

「文藝春秋 第二九巻第一二号」1951(昭和26)年9月1日

底本

  • 坂口安吾全集 11
  • 筑摩書房
  • 1998(平成10)年12月20日