あんごのしんにほんちり 03 だてまさむねのしろへのりこむ――せんだいのまき――
安吾の新日本地理 03 伊達政宗の城へ乗込む――仙台の巻――

冒頭文

仙台は伊達政宗のひらいた城下町。その時までは原野であったそうだ。 この城は天嶮だね。しかし眼下に平野を見下し、水運には恵まれないが、陸路の要地ではある。政宗が仙台を開府したのは、大坂や江戸の開府よりも後のことだ。だが、大坂や江戸にくらべて、地点の選び方が田舎豪傑式であり、近代性が低いのである。 秀吉は主として信長の独創を実践した人で、彼自身の、独創というものはあまりないが、大阪

文字遣い

新字新仮名

初出

「文藝春秋 第二九巻第七号」1951(昭和26)年5月1日

底本

  • 坂口安吾全集 11
  • 筑摩書房
  • 1998(平成10)年12月20日