あんごのしんにほんちり 01 あんご・いせじんぐうにゆく
安吾の新日本地理 01 安吾・伊勢神宮にゆく

冒頭文

この元日に飛行機にのった。三月ごろから内地に航空路ができるについて読売新聞で試験飛行をやった。それに乗ったのである。ノースウエスト航空会社のDC四型という四発機。四千五百メートルぐらいの高度で大阪まで往復したのだが、戦前までの航空旅行の概念とはよほど違っている。煖房は完備しているし、どういう仕掛だか空気は常に室内に充満しているし、雲海の上へでるとアスファルトの路上を高級自動車で走るよりも動揺がない

文字遣い

新字新仮名

初出

「文藝春秋 第二九巻第四号」1951(昭和26)年3月1日

底本

  • 坂口安吾全集 11
  • 筑摩書房
  • 1998(平成10)年12月20日