らくご・きょうそれつでん 04 ひえんりゅうかいそ
落語・教祖列伝 04 飛燕流開祖

冒頭文

目明(めあかし)の鼻介は十手の名人日本一だという大そうな気取りを持っていた。その証拠として彼があげる自慢の戦績を列挙すると、次のようなものである。 奴メが江戸で岡ッ引をしていた時の話。町道場の槍術師範、六尺豊かの豪傑が逆上して暴れだして道往く者を誰彼かまわず突き殺しはじめたことがある。腕自慢の若侍が数をたのんでとりかこんでも、またたくうちに突き伏せられてしまう始末で、同心も捕手(とりて)

文字遣い

新字新仮名

初出

「オール読物 第六巻第三号」1951(昭和26)年3月1日

底本

  • 坂口安吾全集 11
  • 筑摩書房
  • 1998(平成10)年12月20日