らくご・きょうそれつでん 02 ちょうせいりゅうかいそ
落語・教祖列伝 02 兆青流開祖

冒頭文

彼は子供の時から、ホラブンとよばれていた。ブンの下にはブン吉とかブン五とか、つくのだろうが、今では誰も知っている者がいない。ホラブンは子供の時から大きなことばかり言っていて、本当のことを喋ったことは一度もなかったそうである。 彼の生家は水呑百姓であったが、鶏やケダモノを食うので、村中から嫌われていた。彼の父は怠け者で大酒飲みであったが、冬になると、どこかへ稼ぎに行って、春さきに、まとまっ

文字遣い

新字新仮名

初出

「オール読物 第五巻第一一号」1950(昭和25)年11月1日

底本

  • 坂口安吾全集 11
  • 筑摩書房
  • 1998(平成10)年12月20日