らくご・きょうそれつでん 01 しんでんぎょしんりゅうかいそ
落語・教祖列伝 01 神伝魚心流開祖

冒頭文

カメは貧乏大工の一人息子であったが、やたらに寸法をまちがえるので、末の見込みがなかった。頭が足りなかったのである。そのくせ、大飯をくう。両親は末怖しくなって、人夫をさがしていた山の木コリにあずけた。木コリが試験してみると、鋸だけはうまくひく。器用なことはできない代りに、根気がよくて、バカ力があるので、木コリには向いている。しかし、まだ十の子供のことだから、 「山へ行くと、友だちはいないぞ。人

文字遣い

新字新仮名

初出

「別冊文藝春秋 第一八号」1950(昭和25)年10月25日

底本

  • 坂口安吾全集 11
  • 筑摩書房
  • 1998(平成10)年12月20日