ごがつのうた |
五月の詩 |
冒頭文
昔、武士が三四人集つた話の席で、首をはねられて、首が胴を放れてから歩くことが出来るかどうか、といふ話がでた。先づ歩くことは出来ないだらうと外の者が言ひ合つてゐるのに、たつた一人、いや、歩くことが出来る、と頑張つた男がある。議論の果、ぢや、実際出来るかどうかやつてみようといふことになり、殿様の御前で、たつた一人頑張つたといふ男の首をはねて、歩くかどうかためす事になつた。ところが、この頑固な男が、首が
文字遣い
新字旧仮名
初出
「現代文学 第六巻第一号」大観堂、1942(昭和17)年12月28日
底本
- 坂口安吾全集 03
- 筑摩書房
- 1999(平成11)年3月20日