がいらいごぜひ
外来語是非

冒頭文

先日ある新聞にラジオだのアナウンサーだのといふ外来語を使用するのは怪(け)しからんと論じてゐる人があつた。皇軍破竹の進撃に付随して、このやうな景気の良い議論が方々を賑はし始めてゐるけれども、尤もらしく見えて、実際は危険な行き過ぎである。 皇軍の偉大な戦果に比べれば、まだ我々の文化は話にならぬほど貧困である。ラジオもプロペラもズルフォンアミドも日本人が発明したものではない。かやうな言葉は発

文字遣い

新字旧仮名

初出

「都新聞 一九五六七号」1942(昭和17)年4月12日

底本

  • 坂口安吾全集 03
  • 筑摩書房
  • 1999(平成11)年3月20日