ぶんしょうのカラダマ |
文章のカラダマ |
冒頭文
一月二日発表のハワイ襲撃の指揮官○○中佐の談話は、文章を職業にする者から見て、ひとり同胞のみならず全世界の鶴首を満足せしめるに充分の文章力が具はつてをり、敬服に堪へぬものがあつた。 あの文章は、そのまゝ如何なる国語に飜訳しても通用し、恐らく各国人の待望を満足せしめるに相違ない。余分の感傷といふものがなく、崇高偉大なる事実のみが語りつくされ、文章が、たゞ事実の要求に応じて使駆されてゐるにす
文字遣い
新字旧仮名
初出
「都新聞 第一九四七四号」1942(昭和17)年1月8日
底本
- 坂口安吾全集 03
- 筑摩書房
- 1999(平成11)年3月20日