ラムネしのこと
ラムネ氏のこと

冒頭文

上 小林秀雄と島木健作が小田原へ鮎釣りに来て、三好達治の家で鮎を肴に食事のうち、談たま〳〵ラムネに及んで、ラムネの玉がチョロ〳〵と吹きあげられて蓋になるのを発明した奴が、あれ一つ発明したゞけで往生を遂げてしまつたとすれば、をかしな奴だと小林が言ふ。 すると三好が居ずまひを正して我々を見渡しながら、ラムネの玉を発明した人の名前は分つてゐるぜ、と言ひだした。 ラムネは一般にレ

文字遣い

新字旧仮名

初出

「都新聞 第一九四二五号~一九四二七号」1941(昭和16)年11月20日~22日

底本

  • 坂口安吾全集 03
  • 筑摩書房
  • 1999(平成11)年3月20日