しまばらのらんざっき |
島原の乱雑記 |
冒頭文
一 三万七千人 島原の乱で三万七千の農民が死んだ。三万四千は戦死し、生き残つた三千名の女と子供が、落城の翌日から三日間にわたつて斬首された。みんな喜んで死んだ。喜んで死ぬとは異様であるが、討伐の上使、松平伊豆守(いずのかみ)の息子、甲斐守輝綱(かいのかみてるつな)(当時十八歳)の日記に、さう書いてあるのである。「剰至童女之輩喜死蒙斬罪是非平生人心之所致所以浸々彼宗門也」と。 三千人
文字遣い
新字旧仮名
初出
「現代文学 第四巻第八号」大観堂、1941(昭和16)年9月25日
底本
- 坂口安吾全集 03
- 筑摩書房
- 1999(平成11)年3月20日