ぶんがくのふるさと
文学のふるさと

冒頭文

シャルヽ・ペローの童話に「赤頭巾」といふ名高い話があります。既に御存知とは思ひますが、荒筋を申上げますと、赤い頭巾をかぶつてゐるので赤頭巾と呼ばれてゐた可愛い少女が、いつものやうに森のお婆さんを訪ねて行くと、狼がお婆さんに化けてゐて、赤頭巾をムシャ〳〵食べてしまつた、といふ話であります。まつたく、たゞ、それだけの話であります。 童話といふものには大概教訓、モラル、といふものが有るものです

文字遣い

新字旧仮名

初出

「現代文学 第四巻第六号」大観堂、1941(昭和16)年7月28日

底本

  • 坂口安吾全集 03
  • 筑摩書房
  • 1999(平成11)年3月20日