さっかろんについて
作家論について

冒頭文

僕の小説によらず、感想によらず、自分を表現する以外に、又、自分の思ふことを人に通じようとする以外に、余念はない。 いはゞ、僕自身の露呈に外ならぬ次第で、さうまで自分を表現したければ、「坂口安吾論」を自分で書けばいゝやうなものではあるが、未だにさういふものを書かないのは、書く必要、書く意味を認めてゐないからである。 僕は、自分や、自分の思想を表現するのに最も好都合の形式が小説であ

文字遣い

新字旧仮名

初出

「現代文学 第四巻第四号」大観堂、1941(昭和16)年5月28日

底本

  • 坂口安吾全集 03
  • 筑摩書房
  • 1999(平成11)年3月20日