イノチガケ ――ヨワン・シローテのじゅんきょう―― |
イノチガケ ――ヨワン・シローテの殉教―― |
冒頭文
前篇 マルチル・マルチレスの数々 一五四七年一月、一艘のポルトガル商船が九州の一角に坐礁して引卸しにかゝつてゐると、丘の上から騎馬で駈け降りてきた二人の日本人があつて、手拭を打ちふり、その船に乗せてくれないかと叫びたてゝゐる。 四名の水夫がボートを下し岸へ漕ぎ寄せて聞いてみると、事情があつて追跡を受けてゐる者であるが、かうしてゐるうちにも追手の者が来さうであるから、船に乗せて一
文字遣い
新字旧仮名
初出
前篇「文学界 第七巻第七号」1940(昭和15)年7月1日発行、後篇「文学界 第七巻第九号」1940(昭和15)年9月1日発行
底本
- 坂口安吾全集 03
- 筑摩書房
- 1999(平成11)年3月20日