にほんじんについて ――なかじまけんぞうしへしつもん――
日本人に就て ――中島健蔵氏へ質問――

冒頭文

健蔵兄、作品社から「中島健蔵氏へ質問」といふものを書けといふことで、文学には多々疑惑のみ溢れがちな日常ではあり渡りに舟と引受けたのですが、さて引受けてみて吃驚(びっくり)しました。なるほど疑問は次から次へとあるやうですが、さてそれを謙虚な質問といふ形に表はしてみやうとすると、これが非常にむづかしいのです。自分では疑問のつもりでゐるものが、質問の形に表はしてみやうとすると、いつのまにやらチャンと疑問

文字遣い

新字旧仮名

初出

「作品 第六巻第七号」1935(昭和10)年7月1日

底本

  • 坂口安吾全集 01
  • 筑摩書房
  • 1999(平成11)年5月20日