そうへん
想片

冒頭文

今日雑誌が一口にジアナリズムなる言外に多くの悪徳を暗示した汚名によつて呼ばれる時世となり、文学の本道まで万事浮遊して落付かぬ状態をつづけてゐる時に、一つくらゐジアナリズムに超然とし、正しき流行をつくるとも流行に追はれぬ雑誌が欲しいと思ふ。「作品」がそれだと言ふほど大袈裟にほめるわけにもいかないが、ジアナリズムの悪徳をもたぬことは確かである。落付きがある。 プルウストの尨大な仕事を「作品」

文字遣い

新字旧仮名

初出

「作品 第六巻第五号」1935(昭和10)年5月1日

底本

  • 坂口安吾全集 01
  • 筑摩書房
  • 1999(平成11)年5月20日