えんだいなるこころがまえ
遠大なる心構

冒頭文

不平、希望、有るといへば多々ありますけれど、小さなことでごて〳〵言ひたくありません。私は黙つて立派な仕事をしたいのであります。けれども、私のこのなかなかに愛すべき心構えをすら脅やかさうとする悪気には(——ああ、小人故男子一生の心構えすらぐらつかされてしまふ!)憤りを覚えずにゐられない。 私は日本文学の「雑誌的」傾向が厭であります。我々の小説を弱少ならしむるもの、一にこの傾向によるものでは

文字遣い

新字旧仮名

初出

「文学界 復活号第一巻第一号」文圃堂書店、1934(昭和9)年6月1日

底本

  • 坂口安吾全集 01
  • 筑摩書房
  • 1999(平成11)年5月20日