しんどうでなかったラムボオのし
神童でなかつたラムボオの詩

冒頭文

私は中原が訳すまで、ラムボオに『学校時代の詩』といふもののあることを知らなかつた。仏蘭西の全集には載つてゐないものである。日本流に数へて十五歳から十七歳までの作品らしい。 私は今までラムボオは神童だつたに違ひないと考へてゐたが、この詩集を読んでみると私の考へがまちがつてゐたことに気付いた。大人びたところがまるでない。その上、神童らしい神童の鋭さもない。だから後年やや長じて、ひとたび懐疑の

文字遣い

新字旧仮名

初出

「椎の木 第三冊」1934(昭和9)年3月1日

底本

  • 坂口安吾全集 01
  • 筑摩書房
  • 1999(平成11)年5月20日