あたらしきぶんがく
新らしき文学

冒頭文

(一) その本質に就て 近年、新興芸術の名に於て幾多の文芸運動が試みられてきたが、徒らに皮相の新奇を追ふほかに為すところを知らなかつた。従来幾多の此の如き新(?)文学運動の完全な失敗は、「新らしさ」を誤らしめ、同時に文学を過(あやま)らしめた。 私の考へによれば、芸術は反撥精神のあらはれであり、時代創造的な激しい意志によつて為さるべきものであると思はれるに拘らず、最近日本文学の新し

文字遣い

新字旧仮名

初出

「時事新報 第一七九二九号~一七九三一号」1993(昭和8)年5月4日~5月6日

底本

  • 坂口安吾全集 01
  • 筑摩書房
  • 1999(平成11)年5月20日