あたらしきせいかくかんじょう |
| 新らしき性格感情 |
冒頭文
最近私は、Ｎ・Ｒ・Ｆの新年号に於て、イリヤ・エレンブルグが「青年期ロシヤ」といふ一種の報告書を寄せてゐるのを読んだ。Ｕ・Ｒ・Ｓ・Ｓも生誕十五年をむかへてゐる。あそこでは、学生達は学ぶことの報酬として給料を貰ひ、その給料で老いたる両親を扶養することも出来るらしい。こんなに我々とかけ違つた方法で成人した若いロシヤの青年達は、彼等の性格に於て、心理に於て、まるで変つた人間が育ちはぢめてゐるのではないか？
文字遣い
新字旧仮名
初出
「桜 五月創刊号」中西書房、1933（昭和8）年5月1日
底本
- 坂口安吾全集 01
- 筑摩書房
- 1999（平成11）年5月20日