わたしのたんていしょうせつ |
私の探偵小説 |
冒頭文
私は少年時代から探偵小説の愛好者であったが、日本で発行されたほぼ全部の探偵小説を読むに至ったのは戦争のおかげであった。 戦争中は酒も飲めなくなり、遊ぶ所もなくなり、雑誌もなくなって小説を書く当もなくなったから、残されたのは読書だけ。私はその頃「現代文学」という集りの同人であったが、この同人の中で探偵小説の愛好者が集って、犯人の当てっこをやりだした。 この方法は、解決のところを切
文字遣い
新字新仮名
初出
「宝石 第二巻第六号」1947(昭和22)年6月25日
底本
- 坂口安吾選集 第八巻小説8
- 講談社
- 1982(昭和57)年11月12日