ふうりゅう
風流

冒頭文

今年いっぱい、日本諸国をかなり足まめに旅行した。人家と山の多いのが、目にしみる。 戦災をうけない都市が、戦災都市と同じように掘立小屋のマーケット街を新作し、屋台店で大道の半分を占領し、戦災都市の窮余の悲風をわざと再現しているのが異様であった。これを日本の風流というのかも知れんと考えた。 それが流行ならば穴居住宅にまで退行するのはそう面倒なことではなく、穴の中にカストリ銀座をつくって間に合せ

文字遣い

新字新仮名

初出

「新潮 第四八巻第十三号」1951(昭和26)年12月1日

底本

  • 坂口安吾選集 第十巻エッセイ1
  • 講談社
  • 1982(昭和57)年8月12日