こんにちのかんそう
今日の感想

冒頭文

……先頃、文芸銃後運動の講演会か何かがあって、壇上の諸家が期せずして一人も文学を語らなかったというので、この事実に非常に感動した文章を書いていた作家があったけれども、僕にはどうも不思議な気持がするばかりで腑に落ちないこと夥しい。文学が直接戦争の役に立たないことは僕も承知しているから、余り大きなことを言う元気はないのだけれども、これぐらい美事に自分の職業を卑下されると、いささかならず面喰う。なぜこの

文字遣い

新字新仮名

初出

「都新聞」1942(昭和17)年9月30日

底本

  • 坂口安吾選集 第十巻エッセイ1
  • 講談社
  • 1982(昭和57)年8月12日