あきらめているこどもたち
諦めている子供たち

冒頭文

雪の晩げに道を歩くと雪ジョロがでるすけオッカネぞとおらとこのオトトもオカカもオラたちに云うてオッカナがらすろも、オラそんげのこと信用(しんよ)しねわい。そらろもオレもオッキなってガキどもができると、そんげのこと云うてオッカナがらすかも知れねな。人間てがんはショウがねもんだて。そらすけオラいまから諦めてるて。 雪の夜道を歩くと雪女郎がでるから怖しいぞとオレのウチの父も母もオレたちに云ってこ

文字遣い

新字新仮名

初出

「暮らしの手帳」1955(昭和30)年3月

底本

  • 坂口安吾選集 第十巻エッセイ1
  • 講談社
  • 1982(昭和57)年8月12日