つゆのこたえ ぬばたまのなにかとひとのといしときつゆとこたえてきえなましものを
露の答 ぬばたまのなにかと人の問ひしとき露とこたへて消なましものを

冒頭文

その一 加茂五郎兵衛の加茂は古い姓です。加茂の地名や賀茂神社など諸国に見られ、之は上古に於ける加茂族の分布を示すもので、神代の頃加茂族なる一部族があり、後世諸国に分散定住し祖神を祀って賀茂神社と称した。この部族の生業は鍛冶ではなかったか、ということが今日一部の民族学者によって言われておりますが、加茂族だの諏訪族、三輪族など、之等は先ず国神系統の代表的な氏族でしょうが、その他何々、新撰姓氏録に

文字遣い

新字新仮名

初出

「新時代」1945(昭和20)年10月1日号

底本

  • 坂口安吾選集 第四巻小説4
  • 講談社
  • 1982(昭和57)年5月12日