やまごしのあみだぞうのがいん
山越しの阿弥陀像の画因

冒頭文

極楽の東門に 向ふ難波の西の海 入り日の影も 舞ふとかや 渡来文化が、渡来当時の姿をさながら持ち伝へてゐると思はれながら、いつか内容は、我が国生得のものと入りかはつてゐる。さうした例の一つとして、日本人の考へた山越しの阿弥陀像の由来と、之が書きたくなつた、私一個の事情をこゝに書きつける。 「山越しの弥陀をめぐる不思議」——大体かう言ふ表題だつたと思ふ。美術雑誌か何かに出たのだらうと思はれる抜き

文字遣い

新字旧仮名

初出

「八雲 第三輯」1944(昭和19)年7月

底本

  • 折口信夫全集32
  • 中央公論社
  • 1998(平成10)年1月20日