げんだいびがくのききとえいがりろん
現代美学の危機と映画理論

冒頭文

1 個人主義文化が、封建主義文化を引きはなすために、戦った歴史の跡は決して容易なものではなかった。幾千の人が火であぶられ幾万の人が鎖でつながれたかわからない。一六〇〇年代は、大きなその闘いの記念すべき世紀であった。一九〇〇年代もまた、今後の歴史家がその研究の対象とするであろうと思われる記念すべき世紀となるであろう。今や、個人主義文化そのものがその危機にのぞんでいる。私達は、その大いなる世

文字遣い

新字新仮名

初出

「映画文化 一号」1950(昭和25)年5月

底本

  • 増補 美学的空間
  • 叢書名著の復興14、新泉社
  • 1977(昭和52)年11月16日