げんごはいきている
言語は生きている

冒頭文

フンボルトは、言葉はエルゴン(創られたるもの)ではなくして、エネルゲイヤ(創るちから)であると云う。 ほんとうに言葉は生きているように思われる。と云うか、同じ言葉を十年くらいで、もう、ほかの意味に取違えてしまう。それほど言葉は生きて動いている。 例えば、外国語の subject なる言葉を、人々は「主観」と訳していた。ところが昭和七、八年頃から、それは「主体」と訳されはじめたの

文字遣い

新字新仮名

初出

「中央公論」1950(昭和25)年12月

底本

  • 増補 美学的空間
  • 叢書名著の復興14、新泉社
  • 1977(昭和52)年11月16日