リズムのこうぞう
リズムの構造

冒頭文

1 『レ・ミゼラブル』の中に次のような一節がある。「もはや希望がなくなったところには、ただ歌だけが残るという。マルタ島の海では、一つの漕刑船が近づく時、櫂の音が聞える前にまず歌の声が聞えていた。シャートレの地牢を通って来た憐れな密猟者スユルヴァンサンは『私を支えてくれたものは韻律である』と告げている。」 詩が有用か無用か、それは論ずるにまかせて、それがこうした涙の中に事実存在しつづけた

文字遣い

新字新仮名

初出

「美・批評」1932(昭和7)年9月号

底本

  • 中井正一全集 第二巻 転換期の美学的課題
  • 美術出版社
  • 1981(昭和56)年4月25日