えいがときかん |
映画と季感 |
冒頭文
これまで映画は、夏興行のものを、冬撮ることになり、ブルブル慄えながら裸かものを撮り、夏の真中に着物をいっぱい着込んで、塩をいっぱいまいて雪のつもりにしたものであった。 しかしそれは、いわゆる活動写真時代の名残りであって、いやしくも芸術として映画が独立する段階にいたっては、もはや許されないことなのである。 よく十六ミリなどで季節の変わったものを継いでみることがあるが、絶対にごまか
文字遣い
新字新仮名
初出
「シナリオ」1950(昭和25)年9月号
底本
- 中井正一全集 第三巻 現代芸術の空間
- 美術出版社
- 1981(昭和56)年5月25日