レンズとフィルム ――それもひとつのせいかくである――
レンズとフィルム ――それも一つの性格である――

冒頭文

1 引金を引くような心持ちで指でふれる時、フィルムはすでに回転している。レコーダーは五フィート、十フィートと記録していく、重い感じの機械音を撮るものにとっては、ある大きな組織の中に巻き込まれている感じである。一コマ一コマの構図に眼は繰り入れられてはいるけれども、心はより多くの関心を、レンズのシボリと光線に配られている。そして、さらに生フィルムの一つの性格について、常に軽い実験的興味と親し

文字遣い

新字新仮名

初出

「シナリオ」1950(昭和25)年11月号

底本

  • 生きている空間――主体的映画芸術論――
  • てんびん社
  • 1971(昭和46)年12月7日